涙の原因は「硫化アリル」という催涙ガス!
玉ねぎを切った瞬間に目が痛くなり、涙が止まらなくなるあの現象。実はこれ、玉ねぎが自分を守るために放出する「催涙(さいるい)ガス」が原因です。
玉ねぎの細胞の中には「硫黄化合物」と「酵素」が別々に存在していますが、包丁で細胞が壊されるとこれらが混ざり合い、「硫化アリル」という揮発性のガスが発生します。このガスが目の粘膜にある水分に触れると、微量の硫酸へと変化し、刺激を感じた脳が「洗い流せ!」と命令を出して涙が出るのです。つまり、玉ねぎを切ることは、キッチンで小さな化学反応を起こしているようなものなのです。
なぜ「冷やす」と涙が出にくくなるのか?
涙を防ぐ最も有名な方法の一つが「玉ねぎを冷蔵庫で冷やす」ことです。これにはしっかりとした科学的根拠があります。
ガスのもとになる硫化アリルは、温度が低いほど揮発(空気中に飛び散る)しにくくなるという性質を持っています。切る15分〜30分前に冷蔵庫で冷やしておくだけで、発生するガスの量が劇的に減り、目への刺激を最小限に抑えることができます。また、玉ねぎが冷えていると細胞が引き締まり、包丁を入れた際に細胞が潰れにくくなるという相乗効果も期待できます。
プロが実践する「涙を止める5つの裏ワザ」
冷蔵庫で冷やす以外にも、物理や化学を応用した効果的な対策があります。
1.切れ味の良い包丁を使う
細胞を「潰す」のではなく「切る」ことで、ガスの発生を最小限に抑えます。プロの料理人が涙を流さない最大の理由です。
2.電子レンジで軽く加熱する
皮を剥いた玉ねぎをラップに包み、20秒ほど加熱すると、ガスを発生させる酵素が熱で働きを失います。
3.換気扇の近くで切る
ガスを空気の流れに乗せて、目に向かってくる前に追い出してしまいます。
4.水にさらしながら切る
硫化アリルは水に溶けやすいため、水の中で切るか、包丁の刃をこまめに濡らすとガスをブロックできます。
5.割り箸をくわえる
意外な方法ですが、口を開けて割り箸をくわえると、口の中の粘膜にガスが吸い寄せられ、目への刺激が和らぐと言われています。
涙が出る「辛い玉ねぎ」ほど栄養が豊富?
実は、私たちを泣かせるあの「硫化アリル」こそが、玉ねぎの健康パワーの源でもあります。
硫化アリルには、血液をサラサラにする効果や、ビタミンB1の吸収を助けて疲労を回復させる働きがあります。つまり、「涙が出るほど刺激が強い玉ねぎ」は、それだけ健康成分がたっぷり詰まっているという証拠でもあるのです。水にさらすと辛味(ガス)は抜けますが、同時に栄養成分も流れ出てしまうため、健康を考えるなら「切った後に少し放置(空気にさらす)」して、加熱調理するのが最も効率的です。
料理がもっと楽しくなる玉ねぎ豆知識
最後に、玉ねぎ調理がワンランクアップする小ネタをご紹介します。
「繊維に沿って切る」か「断つ」か
繊維に沿って切るとシャキシャキ感が残り、加熱しても形が崩れにくいです。逆に繊維を断つように切ると、細胞が壊れて甘みが出やすくなり、サラダなどでは辛味が抜けやすくなります。
涙が出た時の対処法
もし目が痛くなってしまったら、無理にこすらず、「冷蔵庫を開けて冷たい空気を浴びる」のがおすすめ。ガスが飛ばされ、血管が収縮して痛みが引きやすくなります。